開催報告
「理論と実践」を考える:六甲舎設立記念セミナー
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日時:2017年9月6日(水)18:00-20:00
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場所:高野第1ビル6F(渋谷区神宮前)
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参加者:約10名(申込者多数のため抽選)
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当日の構成
1. イントロダクション
2. 石山先生講演
3. 伊達講演
4. グループディスカッション
5. 発表&コメント
6. ラップアップ


「理論と実践」は社会科学の様々な領域で議論されるトピックの一つです。特に研究対象として実践を伴う領域では、理論と実践の「乖離」を問題視したり、「架橋」が必要だと論じられたりしています。
少し例を挙げましょう。組織論においては近年、エビデンス・ベースト・マネジメント(EBM)の議論が出てきています。EBMは医療のエビデンス・ベースト・メディスンを参照した概念であり、実践に理論を如何に提供できるのか、研究者のアウトプットを実務家に如何に活用してもらうのかを検討しようとするものです。
また情報経営学などの分野において、リガー・レリバンス問題(RR問題)も指摘されています。RR問題は、研究領域が成熟する中で科学的な厳密性(リガー)が強く要請されるようになり、実務的な有用性(レリバンス)を失ってしまった事態に対する問題意識に基づいています。
あるいは、そこまで硬派な議論にいかずとも、研究者はそれぞれ、「理論と実践」に関する持論を携えて研究を進めていることでしょう。研究者本人がそのことに自覚的であるか否かはさておき。
この度、以上のように様々な次元で思考が重ねられている「理論と実践」というテーマについて腰を据えて考えるセミナーを開催します。本セミナーは2017年6月に設立した株式会社六甲舎の設立記念セミナーでもあります。六甲舎は学術研究の推進を支援する民間の組織です。
当日は六甲舎を創業し、代表取締役を務める伊達洋駆に加えて、法政大学大学院の石山恒貴教授の2名が登壇します。伊達は大学院で経営学を研究する中で会社を創業しました。一方で、石山氏は社会人経験を積んだ後、大学院に通い、大学教員になりました。
今回のセミナーにおいては、学術界から産業界に移行してきた伊達と、産業界から学術界に移行してきた石山氏が、相互に視点を交通・補完しつつ、「理論と実践」について多角的に語ります。「理論と実践」の問題にご関心のある方はぜひお申込み下さい。
◆登壇者からの一言
伊達洋駆(株式会社六甲舎/株式会社ビジネスリサーチラボ 代表取締役)
「私は学術界から産業界へと渡り歩き、現在は仕事として産業界において学術界の知見を活用しています。『理論と実践』は多元的な論点を伴う難しい課題設定ではありますが、私自身の経験をもとに、実践における理論の使用に関してお話する予定です。参加者の皆様が『理論と実践』を今後検討する際の補助線を提供できればと考えています。」
石山恒貴(法政大学大学院 教授)
「私は人事の実務家を経て大学教員になりました。また、現在、社会人大学院の教員として、実務家でありながら、学術論文の完成を目指す方々を指導する立場でもあります。自分自身『理論と実践』について研究を進めるうえで、様々な葛藤に直面しています。また社会人大学院生の『理論と実践』に関する戸惑いを肌で感じます。私自身のキャリアにおける葛藤と日々の社会人大学院生との交流の経験に基づく『理論と実践』に関する考えを率直にお話しさせていただきたいと思います。」
◆登壇者
伊達洋駆
株式会社ビジネスリサーチラボ 代表取締役。株式会社六甲舎 代表取締役。神戸大学大学院経営学研究科 博士前期課程修了。修士(経営学)。同研究科在籍中、2011年にビジネスリサーチラボを創業。以降、組織・人事・地域・市場等の領域において学術知を活用した調査・助言事業を展開。2017年、学術研究を推進する六甲舎を創業。
石山恒貴
一橋大学社会学部卒業、産業能率大学大学院経営情報学研究科経営情報学専攻修士課程修了、法政大学大学院政策創造研究科政策創造専攻博士後期課程修了、博士(政策学)。一橋大学卒業後、日本電気(NEC)、GE(ゼネラルエレクトリック)、バイオ・ラッドラボラトリ-ズ株式会社執行役員人事総務部長を経て、現職。